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ICE CUBE

AMERIKKKA'S MOST WANTED

1990, Priority

ICE CUBE | AMERIKKKA’S MOST WANTED

 イージー・Eとの関係悪化を原因としてNWAを脱退したアイス・キューブ(20歳)が、ヒップホップ業界においても年長者だったパブリック・エネミー(PE)のチャック・D(29歳)に相談したことをきっかけとして誕生した、稀代の傑作『Amerikkka’s Most Wanted』。PEとNWAは、当時、東西各海岸の頂点に君臨しており、それぞれのサウンド(PEのプロデューサー・チームであるボム・スクワッド)と、ラップ(NWAの実質的な“声”であるアイス)がコラボレーションしたのが本作だ。

 ボム・スクワッド(BS)のハンク・ショックリーは「もしアルバムがクイーンズやブロンクスのストリートから生まれたようなサウンドだったとしたら、それは本物だとは言えない(からリリースさせるつもりはなかった)」と語っているが、たしかにこのアルバムは、紛れもなく真正のウエスト・コースト・シットだ。アイスが選んだサンプリング・ソースは、“AmeriKKKa’s Most Wanted”で使われたスティーヴ・アーリントンから、粘っこいファンク・グルーヴに包まれる“Once Upon a Time in the Project”でのベティ・ディヴィスなどファンクの比重が高く、さらにアイスが連れてきた旧知の友人であり、NWA以前に一緒にグループを組んでいたサー・ジンクスがプロダクションに関与することで、ボトムを西海岸らしいレイドバックしたグルーヴが貫いている。そして、そのグルーヴに対してBSが、十八番である職人的なサンプリング・コラージュのテクニックを駆使して様々な味付けを施したのが、このアルバムのサウンドの要旨となる。

 チャック・Dとマイク・リレーを交わす“Endangered Species”やアルバムの最後の最後で導火線に火を付ける“The Bomb”など、BPMが早く、煽動的で好戦的なビートの曲はBS色が強く出ているが、クルーであるダ・レンチ・モブを召集した“Rollin with the Rench Mob”やタイトル的にも西海岸らしい“Who’s the Mack”など、ミッド・テンポで闊歩するファンク・トラックはやはりアイスのアルバムだと感じさせる。だが、なんにせよ作中最高の曲は、セッションの最初期に完成し、ハンクが「この曲のヴァイブレーションをあと9曲分複製できれば最高のアルバムが作れる」という手応えを感じた1stシングル“AmeriKKKa’s Most Wanted”で間違いない。アイスにとっては、ソロとしてこれ以上ないスタートを切ったヒップホップのマスターピースだ。

TRACKLIST

01. Better Off Dead
02. The N***a Ya Love To Hate
03. AmeriKKKa’s Most Wanted
04. What They Hittin’ Foe?
05. You Can’t Fade Me / JD’s Gaffilin’
06. Once Upon a Time In the Projects
07. Turn Off the Radio
08. Endangered Species (Tales From the Darkside) feat. Chuck D
09. A Gangsta’s Fairytale
10. I’m Only Out For One Thang feat. Flavor Flav
11. Get Off My Dick and Tell Yo Bitch To Come Here
12. The Drive-By
13. Rollin’ Wit the Lench Mob
14. Who’s the Mack?
15. It’s a Man’s World feat. Yo-Yo
16. The Bomb

PRODUCER

The Bomb Squad
Ice Cube
Sir Jinx

SINGLE

AmeriKKKa's Most Wanted
Who's The Mack

SURE SHOT SONG

AmeriKKKa’s Most Wanted
Who’s the Mack?

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