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DRED SCOTT

BREAKIN’ COMBS

1994, Tuff Break

DRED SCOTT | BREAKIN' COMBS

 ニューヨーク生まれ、ロサンゼルス育ちのMC/プロデューサーであるドレッド・スコットによる唯一のアルバムだが、本国アメリカでのほとんど黙殺された評価に比べると、日本では何度かCDが再発されたりと、人気のある一枚だ。それはひとえに、シングル“Check the Vibe”のおかげだろう。クールなエレクトリック・ピアノのループとハード・ヒッティングなドラムス、大学の同窓であり、後に奥方となるエイドリアナ・エヴァンスのスキャット混じりのジャジーなフックの組み合わせで作られたこの曲は、のちのJ・ディラやソウルクエリアンズにも通じる瀟洒なサウンドで、日本で人気が高い理由もよくわかる。

 ジャズがヒップホップにおける主要なサンプリング・ソースとなる前から純粋にジャズにはどっぷり浸かっており、楽器演奏の教育も受けてきた彼だが、「ニューヨークのプロデューサーたちと違って、両親のレコード・コレクションがあるわけでもないから、サンプリングじゃなくて自分の手でやるしかなかった」といった発言をどこかで読んだ記憶がある。そのため、一部サンプリングもしているが、基本は自前の楽器演奏とドラム・マシーン/サンプラーを駆使して楽曲制作を行うタイプで(クレジットにわざわざ「Yes, I do my own beats!」と記載している)、そのジャジーでファンキーなスタイル(ピート・ロックからの影響が大きいようにも感じる)は、当時流行していたジャズ・ラップの波にも乗り、シングル“Back in the Days”はアンダーグラウンドでヒットした。同曲で「グッド・ライフ(カフェ)でラップしたらディスられたけど、二年後にカムバックした時はプロップスを得たぜ」とラップしているように、彼もLAのヒップホップ・コミュニティの聖地グッド・ライフ・カフェには通っていたようで、西海岸らしいレイドバックしたジャズ・サウンドは、フリースタイル・フェローシップやザ・ファーサイドの作品と少なからず相通じるものがある。レーベルメイトのトラジェディ(インテリジェント・フッドラム)が参加した気だるげなファンク“Funky Rhymes”、ホーンの使い方がピート・ロックっぽいシングル“Nuttin ta Lose”、Pファンク濃度高めの“They Don’t Know”、そして完全なジャム・セッション“Frankie’s Groove”はずば抜けて出来が良い。

TRACKLIST

01. Back in the Day (Nappy Disc)
02. Duck Ya Head
03. Can’t Hold It Back
04. Check the Vibe (feat. Adriana Evans)
05. Dirty Old Man Skit
06. The Story
07. To da Old School (feat. Tragedy)
08. Funky Rhythms (feat. Tragedy)
09. Swinging’ from the Tree (feat. Adriana Evans)
10. Intro (Kinky Disc)
11. Nutin’ ta Lose
12. Liar
13. Rough E Nuff
14. My Mind Is Drifitin’
15. They Don’t Know
16. Frankie’s Groove

PRODUCER

Dred Scott

SINGLE

Nuttin' ta Lose b/w Duck Ya Head
Back in the Day b/w Can't Hold It Back
Check the Vibe

SURE SHOT SONG

Check the Vibe
Nuttin' ta Lose
Frankie's Groove

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