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V.A.

HAZE PRESENTS NEW YORK REALITY CHECK 101 MIXED BY DJ PREMIER

1997, Payday

HAZE PRESENTS NEW YORK REALITY CHECK 101 MIXED BY DJ PREMIER

 ジェルー・ザ・ダマジャやグループ・ホーム、ショウビズ&AG、モス・デフの兄弟ユニットであるUTDなどを擁していた〈 Payday 〉がリリースしたオフィシャル・ミックス作品。レーベル・オーナーであり、本作のエグゼクティヴ・プロデューサーを担当しているパトリック・モクシーは、当時ギャング・スターのマネージャーもしており、また、同レーベル所属のジェルーやグループ・ホームはギャングスター・ファウンデーションの一員でもあったため、当然の流れでDJプレミアがミックスを手掛けている。ミックスはプリモなのだが、選曲自体はレーベルのA&Rであるミスター・デイヴが行っており、その審美眼は確かなものだ。 “In My Lifetime”の12インチのみの関係で終わってしまったが、誰よりも先にジェイ・Zに目をつけ〈 Payday 〉と契約したのがデイヴだった、というエピソードでその目利きの信ぴょう性は増すだろうか。「リアルでいろ」や「ヒップホップに忠実に」と言いつつ売れたいだけの奴らに飽き飽きしているという辛辣なライナーノーツのコメントは、ヒップホップ・ゲームに対する真摯さの表れでもある。

 後に〈 Bad Boy 〉と契約するGデップによる隠れた名曲“Head Over Wheels”、ドン・ブラックマン“Holding You, Loving You”を用いた日本人気も高いL・ザ・ヘッドタッチャ“Too Complex”、グループ・ホームとの“East NY Theory”で知られるブレインシック・モブ “Mixmaster”(RAMP版の“Everybody Loves the Sunshine”がサンプリング・ソース)など、調理法はスモーキーだが素晴らしくソウルフルな曲や、ダ・ビートマイナーズの最高傑作の一つであるシェイズ・オブ・ブルックリンの“Changes”、NY地下シーンにおける屈指の名門〈 Hydra Entertainment 〉代表、ゴッドファーザー・ドンによる“Properties of Steel”のようなピアノを下敷きにした曲から当時の流行が垣間見えるところは、時代(97年)と場所(NY)にフォーカスした本作ならではの醍醐味だ。

 冠に「Haze Presents」とあるが、この「Haze」とはエリック・ヘイズのことで、デザイナーとして数々の名盤のアート・ディレクションをこなしてきた人物だ。代表的な作品だとパブリック・エネミー『Yo! Bum Rush The Show』やビースティー・ボーイズ『Check Your Head』があり、EPMDのロゴの生みの親も彼である。彼が手掛けるNYの地下鉄の写真を用いたアート・ワーク、当時のNYアンダーグラウンドの紛い物のないサウンドを完璧にパッケージした選曲、そしてプリモによるドープなミックスという全方位で隙のない、ヒップホップに対する愛に溢れた一枚。

TRACKLIST

01. Intro / DJ Premier
02. Braggin’ Writes / J-Live
03. Break It Down / Brainwash
04. Off Balance / Laster feat. ED O.G.
05. Head Over Wheels / G-Depp
06. Skit / DJ Premier
07. Lyrical Tactics / Natural Elements
08. 8 Steps To Perfection / Company Flow
09. Change / Shades of Brooklyn
10. Too Complex / L the Dead Toucha
11. Intro 2 / DJ Premier
12. Metal Thangz / Street Smartz
13. Inner City Blues / Rezidue
14. Properties Of Steel / Godfather Don
15. Mixmaster / Brainsick Mob
16. 21 Years / Choclair
17. Outro / DJ Premier
18. Feel The High Part. 2 / Finsta Bundy

PRODUCER

NONE

SINGLE

NONE

SURE SHOT SONG

NONE

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