DJプレミアが自身のYouTubeチャンネルにて公開している「So Wassup?」シリーズ。これまでにエピソード13まで公開されているが、これがマザーファッキン面白い。シリーズのコンセプトは、副題「DJ Premier’s Salute to the Floppy Disc」が示す通り、プロ・ツールズやDTMの前の時代、まだフロッピー・ディスクにビートの全てが詰まっていた90年代に、プリモがプロデュースした曲の制作秘話を語るもの。
例えばエピソード1は、ジェルー・ザ・ダマジャのデビュー・シングル“Come Clean”について。ブライアン・コールマンの名著『Check the Technique Vol.2』でジェルー本人も語っていたが、『Daily Operation』ツアーでのサウンドチェックは毎回オニキスの“Throw Ya Gunz”で行われており、ツアーに帯同していたデビュー前のジェルーが、「ヨォ、プリーモ、この曲のこの部分(“Uh oh, Heads up cause we’re droppin some shit”)を使って曲作ろうぜ」と提案したことから誕生したという。
他にもエピソード1では、
「水滴の音みたいなサウンドを聴いてピンときた。ハードなドラムと組み合わせればヤバいのができるってわかった」
「ある程度出来上がった段階で、ジェルーは『もうこのままでいい』って言った。ホーンとかそういうのはいらない、ロウのままでって」
「ホット・97でかかった後、みんなから『なんだよあれ』ってめちゃくちゃ言われた」
「当時、ギャング・スターのマネージャーだったパトリック・モクシーは、自分のレーベル〈 Payday 〉を立ち上げたばかりだった。彼が『もしオマエが全曲プロデュースしてくれるなら、ジェルーと契約したい』って言ってきたから、オレらは乗っかったんだ」
と、興味深い裏話をたくさん明かしてくれる。個人的には、元々はキャニバスが使うはずだったというディアンジェロの“Devli’s Pie”や、スパイク・リー監督の助言の元で出来上がった“Jazz Thing”についても語ってほしい。
それにしても、毎エピソード、プリモが着ているTシャツが気になる。特にエピソード12、プリモのミックスでお馴染みのフレーズ「P-P-P-P-P-Premier(ポ、ポ、ポ、ポ、ポ、ポメー)」Tシャツは一体どこで手に入るのか。
日本のレコード・ショップで取り扱いがあるかは不明なので、気になる方は直接〈 Get On Down 〉のオンライン・ショップで予約推奨。ちなみに、〈 Get On Down 〉はこれまでも数々の再発を手がけてきたが、個人的に一番のお気に入りは、ファット・ボーイズのアルバム『Fat Boys』のピザ・ボックス仕様での再発。そういえば、箱を開くと“93 ‘Til Infinity”が流れる無駄に豪華な仕様でソウルズ・オブ・ミスチーフ『93 ‘Til Infinity』を再発したのも〈 Get On Down 〉だったな。
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